SAMPLE REPORT
経営診断レポートの見本
実際にお渡しする経営診断レポートの抜粋です。「お金を払うと、何が届くのか」が分からないままではご判断いただけないと考え、中身をそのまま公開しています。
この見本は架空の企業です
守秘のため、実在の企業ではなく、製造業でよく見られる状況を組み合わせた架空のモデル企業を題材にしています。社名・数値・発言はすべて架空のものです。実際の診断では、企業の状況に応じて構成も分量も変わります。
対象企業(架空)
株式会社サンプル製作所
- 仮称
- 株式会社サンプル製作所
- 事業
- 産業機械向け部品の機械加工・組立(多品種少量)
- 従業員
- 48名(製造32名/間接16名)
- 売上高
- 7.8億円
- 取引構造
- 大手機械メーカー3社で売上の約7割
ご相談のきっかけ(社長の言葉)
「受注は3年で2割増えた。なのに、利益がほとんど増えていない。工場は毎日残業しているし、在庫も増えている。どこで損をしているのか、自分たちでは分からない」
01
診断の目的と範囲
受注が増えているにもかかわらず利益が伸びない構造を特定し、90日以内に着手できる改善策を優先順位つきで提示すること。これを今回の診断の目的としました。
対象とした領域
- 受注から出荷までの生産管理プロセス(納期回答・生産計画・進捗管理)
- 在庫(原材料・仕掛品・完成品)
- 原価の捕捉方法と、見積と実績の差異
対象としなかった領域
- 人事評価制度・賃金制度
- 資金調達、金融機関対応
- 補助金・助成金の申請支援(当方では取り扱っておりません)
範囲を絞ったのは、社長のご相談が「利益が増えない理由」に集中しており、そこに直結する領域から手をつけるべきと判断したためです。
診断の方法と期間
- 期間
- 約4週間
- ヒアリング
- オンライン3回(社長・生産管理・製造課長・営業)
- 現場確認
- 訪問1回(加工〜組立〜出荷の工程動線、在庫置場)
- 分析資料
- 直近3期の決算書、品目別在庫データ、受注〜出荷の実績データ12ヶ月分
02
現状分析
数値で見た現状
| 指標 | 3期前 | 前期 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 6.5億円 | 7.8億円 | +20.0% |
| 営業利益率 | 4.1% | 3.6% | -0.5pt |
| 在庫回転日数 | 58日 | 81日 | +23日 |
| 納期遵守率 | 94.8% | 91.2% | -3.6pt |
売上が2割増える一方で、利益率は下がり、在庫は23日分増えています。増えた売上が、在庫と工場の負荷に吸収されている状態です。
現場で確認した数値
| 項目 | 実測値 | 備考 |
|---|---|---|
| 特急・飛び込み案件 | 月平均7件 | 全受注の約9% |
| 段取り替え回数 | 1日平均11回 | 12ヶ月の実績データより |
| 生産計画の組み直し | 週2〜3回 | 生産管理担当へのヒアリング |
| 見積原価と実績原価の差異 | 測定していない | 品目別の実績原価を集計する仕組みがない |
現場の声
ヒアリングで繰り返し出てきた発言を、そのまま記載します。改善の出発点は、この3つの発言のあいだにあります。
「計画は毎週立てています。でも飛び込みが入ると、そこから先を全部組み直しです。月曜に立てた計画が、水曜には別物になっている」
「在庫を減らせと言われるのは分かります。でも、欠品してラインを止めたら怒られるのはこちらです。だったら多めに持ちます」
「納期は工場に聞かないと答えられません。聞いても『やってみないと分からない』と言われることが多いので、結局『急ぎでお願いします』と伝えることになります」
03
課題の構造化 — どこで利益がこぼれているか
診断の結論
最も大きく利益がこぼれているのは、在庫そのものではなく、「納期回答ができないこと」から始まる連鎖です。
社長のご認識では在庫が最大の問題でしたが、分析の結果、在庫は原因ではなく結果でした。在庫を直接減らす施策から入ると、欠品が増えて現場が反発し、半年で元に戻る可能性が高いと考えます。
構造① 納期回答の属人化が、段取りを増やしている(影響度:大)
- 標準リードタイムが設定されていない
- 営業が自信を持って納期を回答できない
- 「急ぎ」として工場に渡され、割り込み扱いになる
- 生産計画を週2〜3回組み直す
- 段取り替えが1日11回まで増える
- 正味加工時間が削られ、残業で吸収している
段取り替え1回あたりの平均時間を25分とすると、1日11回で約4.6時間。うち、計画組み直しに起因する増加分を3回と見積もると、月あたり約27時間の加工能力が段取りに消えている計算になります。
構造② 在庫基準の不在が、各自の判断で在庫を増やしている(影響度:中)
適正在庫の基準が文書化されていないため、欠品で叱責された記憶を持つ担当者ほど多めに発注します。これは個人の問題ではなく、判断基準がない状態で欠品だけにペナルティがある仕組みの問題です。在庫23日分の増加は、この仕組みが3年かけて生んだ結果と見ています。
構造③ 実績原価が捕捉されていない(影響度:中・ただし放置すると拡大)
品目別の実績原価を集計していないため、どの製品で利益が出ていて、どの製品で損をしているかが分かりません。結果として、価格改定の交渉材料がなく、赤字品目を受け続けている可能性があります。今回の診断では上位10品目を簡易集計したところ、2品目で実績原価が見積を15%以上超過していました。
3つの構造の関係。構造①が根にあります。②と③は、①を放置したまま個別に手を打っても改善しません。順番を間違えないことが、この診断の最も重要な指摘です。
04
改善の方向性(優先順位つき)
| 優先 | 施策 | 期待効果 | 実行難易度 | 着手時期 |
|---|---|---|---|---|
| A | 標準リードタイムの設定と納期回答ルールの整備 | 大 | 低 | 即時 |
| B | 飛び込み案件の受入判定基準を決める | 大 | 中 | 1ヶ月後 |
| C | 品目のABC分類と在庫基準の設定 | 中 | 低 | 2ヶ月後 |
| D | 上位20品目の実績原価を捕捉する | 中 | 中 | 4ヶ月後 |
| E | 生産管理システムの刷新 | 大 | 高 | 当面は見送りを推奨 |
標準リードタイムの設定(最優先)
売上上位30品目について、過去12ヶ月の実績から標準リードタイムを算出し、営業が工場に確認せずに納期回答できる状態を作ります。まずは全品目ではなく30品目に絞ります。
- 実績データはすでに社内にあり、新たな投資は不要です
- 「工場に聞かないと分からない」状態がなくなれば、飛び込み扱いの案件が減ります
- 3ヶ月で効果が数値に出るため、次の施策への社内の納得が得やすくなります
飛び込み案件の受入判定基準
すべての飛び込みを断つのは現実的ではありません。受けるか否かを、営業と工場が同じ基準で判断できるようにします。判断を個人に委ねないことが目的です。
- 受入可否の判断軸(納期余裕・段取り類似性・取引先重要度)を文書化する
- 判断は営業所長と生産管理の2名で行い、担当者個人に背負わせない
- 受けた場合に何が後ろ倒しになるかを、その場で可視化する
ABC分類と在庫基準
Aランク品(売上上位)は在庫を持ち、Cランク品は受注後手配に切り替えます。同時に、欠品の責任を担当者個人に問わない運用へ変えることが前提条件です。基準だけ作っても、評価の仕組みが変わらなければ在庫は減りません。
上位20品目の実績原価
全品目の原価計算システムを入れる必要はありません。まず上位20品目に絞り、月次で見積と実績の差異を確認する運用から始めます。
生産管理システムの刷新について
社長からご要望がありましたが、現時点での着手は推奨しません。
理由は、現在の業務ルール(納期回答の基準、在庫基準)が未整備のままシステムを導入すると、「決まっていないこと」をシステムに載せることになり、結局Excelでの二重管理が残るためです。施策A〜Dで運用を固めたうえで、1年後に要件を整理することをお勧めします。なお、システム導入そのものを否定するものではありません。順番の問題です。
05
実行ロードマップ
最初の90日
| 期間 | 実施内容 | 担当 | 完了の判断基準 |
|---|---|---|---|
| 0〜30日 | 上位30品目の標準リードタイム算出 | 生産管理 | 30品目の一覧が完成 |
| 0〜30日 | 納期回答ルールの文書化 | 生産管理+営業 | A4・1枚のルールが承認される |
| 31〜60日 | 営業・工場の合同運用を開始 | 営業 | 工場への確認なしの回答が月の7割 |
| 31〜60日 | 飛び込み案件の判定基準を運用 | 営業所長+生産管理 | 判定記録が全件残る |
| 61〜90日 | ABC分類と在庫基準の設定 | 購買 | Cランク品の受注後手配へ切替 |
| 61〜90日 | 効果測定 | 全体 | 納期遵守率・段取り回数を比較 |
4〜12ヶ月
- 4〜6ヶ月
- 段取り順序の標準化(類似品をまとめる生産順序ルール)
- 4〜6ヶ月
- 上位20品目の実績原価の捕捉を開始
- 7〜9ヶ月
- 原価差異の月次レビューを定例化、価格改定の交渉材料を整備
- 10〜12ヶ月
- 生産管理システムの要件整理(導入判断はこの時点で改めて)
90日の施策は、いずれも新たな投資を伴いません。既存のデータと、既存の会議体で実行できる範囲に絞っています。最初の90日で数値が動くことを、社内の合意形成の材料にする設計です。
06
期待効果の試算
| 項目 | 現状 | 目標(12ヶ月後) | 効果額(年) |
|---|---|---|---|
| 段取り替え回数 | 11回/日 | 8回/日 | 約320万円 |
| 在庫回転日数 | 81日 | 65日 | 運転資金 約3,400万円の圧縮 |
| 原価超過品目の是正 | 2品目 | 0品目 | 約180万円 |
| 納期遵守率 | 91.2% | 96%以上 | 金額換算せず |
試算の前提
効果額は以下の前提に基づく試算であり、成果を保証するものではありません。前提が変われば結果も変わります。
- 受注構成(品目構成・取引先構成)が現在と同等で推移すること
- 製造人員の増減がないこと
- 段取り時間は1回あたり25分(12ヶ月の実績平均)で計算
- 在庫圧縮額は前期末棚卸資産を基準に、日数短縮分を按分
- 原価超過分は、価格改定または工程改善のいずれかで是正できた場合の金額
効果が出ない場合に想定されるリスク
正直に申し上げると、施策Aが機能しない可能性が最も高いのは、営業が標準リードタイムを使わず、従来どおり「急ぎ」で工場に投げ続ける場合です。ルールを作っただけでは行動は変わりません。
対策として、最初の2ヶ月は納期回答の実績を週次で確認し、ルールが使われているかどうかを数値で追うことをお勧めします。仕組みではなく運用が定着するかどうかが、この改善の分かれ目です。
07
前提と留意事項
- 本レポートは、限られた期間のヒアリングと提供資料に基づく分析です。診断範囲外の要因により、状況が異なる可能性があります
- 記載した数値目標は試算であり、達成を保証するものではありません
- 実行段階では、現場の反応を見ながら施策の順序を調整することを前提としています
08
実際の経営診断レポートについて
冒頭に記載のとおり、本ページは架空のモデル企業を題材にした見本です。実際の診断では、次の点が企業ごとに変わります。
- 分量
- A4で20〜30ページ程度。本サンプルはその抜粋にあたります
- 構成
- ご相談内容に応じて、対象とする領域を絞り込みます
- 納品
- ヒアリング開始から約3〜4週間。レポートのお渡し後、内容のご説明の場を設けます
経営診断レポート
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